レポート
2016.12.13

“禁酒島”奥尻島に“カンパイ条例”

ことわざで「酒は飲むべし、飲まるるべからず」と言いますが、その昔「禁酒島」と呼ばれた道南の奥尻島で、先週、一転して島の人たちに飲酒をすすめる「乾杯条例」が定められました。道南の江差からおよそ2時間。奥尻島が見えてきました。青い海と青い空…。この日、島では解禁されたうに漁などの豊漁と安全を祈る「室津祭」が聞かれていました。島は、一年で最も活気ある季節を迎えています。そんな奥尻島で…島の未来を賭けた新たな試みとして島に新しい条例が生まれました。その名も「奥尻島地酒で乾杯を推進する条例」。最初の一杯を地元のお酒で始めようという取り組みです。
地域の特産品の消費拡大を狙う、いわゆる「乾杯条例」。道内では中標津町の「牛乳乾杯条例」などが知られています。今、奥尻島の新たな特産品は島で、栽培したブドウから作った「奥尻ワイン」。海の風を浴び、ミネラルが豊富なことが特徴です。
奥尻島は、1885年からの5年問、酒を飲むことが禁じられた「禁酒島」だったことは意外に知られていません。当時、産業の中心だったニシン漁。漁獲高の乱高下で生活が不安定になり、やけ酒に溺れる人が後を絶たなかったのです。
そんな島を守る「禁酒令」は、現在にもつながっています。奥尻の米と水を使い、去年から作られている清酒「奥尻」。禁酒時代の稲作が日本酒造りに生きています。高齢化で、人口が年間100 人減っているといわれる奥尻島。若い人たちの働く場を作るために、かつて島を危機にさらした酒に未来を託そうとしているのです。

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